2023年10月30日

タグ一つでこれだけわかる時計のあれこれ【京都タワー前店】

みなさまこんにちは。

チケット&ブランドリサイクルトーカイ京都タワー前店の坪井です。

 

自分の好みに合った腕時計を購入しようと時計店や百貨店の時計売り場に行きちょっとした下見を…このような経験が過去に一度や二度あるのではないでしょうか。

インターネットが普及しスマホさえあれば自分が求める腕時計の機種、型番、スペック、市場価格までもが容易に調べることができる現在。

直接店頭に行かなくても購入できるネット通販により遠方のショップに出向く必要もなくなりました。

昔は、少なくとも20年前などは欲しいと思った時計をメーカーのカタログや月刊誌などで細かいところまでチェックして…。が当たり前であったように思います。

今回はその20年前を思い出しながら当時の製品に付属する商品タグから見ることができる製品情報をお伝えします。

タグに記された簡潔な文言。

少し深堀りするだけでいろいろなことがわかり腕時計の実用性に対するユーザーの要望やメーカーによる技術革新、進化の努力がうかがえます。

 

今回ピックアップしましたのはカシオのG-SHOCKから私一推しのGIEZシリーズより、GS-500D-1Aです。

見た目にもG-SHOCKでありながらスーツにもピッタリのこのモデル。

ブラックのケースに差し色のレッドが映える時針、ホワイトの分針とのバランスが絶妙です。

このモデルの紹介だけでもけっこうな文字数になりそうですが、今回の焦点はあくまでも製品に付属するタグです。

タグに記載されている機能、性能は以下になります。

・耐磁時計 JIS1種

・ELバックライト(残照機能付き)

・20気圧防水

もう一つのタグには、

・TITANIUM とあります。

 

それでは順番に見ていきましょう。

 

【タグ一つでこれだけわかる時計のあれこれ】

(think)①耐磁時計 JIS1種

タグを見ますと【耐磁時計 JIS1種】と記されています。クォーツ時計、機械式時計ともに天敵である磁気。【耐磁時計 JIS1種】は腕時計JISとして7規格あるうちの1つ、耐磁携帯時計-種類及び性能に関係します。耐磁に関するJIS規格は磁界に耐えられる携帯時計の種類及び性能について1種と2種に区分されています。

1種:直流磁界4,800/Amに耐えられる水準の耐磁時計を意味し日常生活において磁気を発生する磁界を発生する機械に時計を5cmまで近づけても機能、性能にほとんど影響しない水準とされています。

 

2種:直流磁界16,000/Amに耐えられる水準の強化耐磁時計を意味し日常生活において磁気を発生する磁界を発生する機械に時計を1cmまで近づけても機能、性能にほとんど影響しない水準とされています。

 

以上からタグに表記されている【耐磁時計 JIS1種】は耐磁時計に関するJIS規格中の1種の水準をクリアしている耐磁時計ということになります。

 

以下、耐磁と関係する時計の磁気帯びとJIS規格に分けて記してみました。

 

(think)②腕時計の天敵「磁気」

磁気を発生する磁界と表現するとピンとこないかもしれませんが、意外にも現代社会において磁気は日常生活をする上で非常に身近なところに存在します。例えば、磁気健康マット、磁気ネックレスや磁気ブレスレットなどは名称に磁気と入っているのでわかりやすいです。ではもっと身近なところに目を向けるとどうでしょう。携帯電話のスピーカー部、ノートパソコンのスピーカー部、ACアダプター、バッグの留め金のマグネットなども磁気の発生源です。磁気を気にするあまり携帯電話は腕時計をしていない方の手で持つお客様、仕事でパソコンをよく使われる方で仕事中は腕時計を外されるお客様など過去に対応させていただいたお客様でいらっしゃいました。

今回はG-SHOCKなのでクォーツ時計の磁気帯びについて記しますと、磁気帯びした腕時計は止まりや遅れを発生することがあります。これはクォーツ時計の心臓部ともいわれるステップモーター内のローターが針を動かす役目をしておりこのローターは永久磁石でできている為最も磁気の影響を受けやすく運針がストップしてしまうことも…。

ただし、以上は故障ではなく時計を磁気発生源から離せば時計はまた動き始めます。

時計に磁気が残っていると診断された場合は脱磁気にかけ脱磁をする必要があります。

 

(think)③JISとはなんぞや?

日本では国が定める工業分野の標準化を工業標準化として日本工業規格が制定されています。標準化とは自由に放置すると、多様化、複雑化、無秩序化する事柄を少数化、単純化、秩序化することで、経済社会活動において利便性の確保、生産効率化、環境保全などの観点から技術文書として国レベルの規格を制定、全国的に統一することを指します。

JISマークは時計に限らずとも聞いたことがあるのではないでしょうか。JISは日本工業規格(Japanese Industrial Standards)の略称で工業品の種類、形式、寸法、構造、品質等の要素、また工業品の生産設計方法、使用方法、試験、検査等の方法などについて規定した技術文書として工業標準化法に基づく手続きによって制定される国家規格です。

時計関係JIS規格は耐磁携帯時計規格を含めて7規格があり、5年ごとの継続、改定等の見直しが実施されています。因みに耐磁携帯時計規格以外には時計の性能試験、耐環境試験についての試験方法や時計部品の名称及び定義について、防水時計の種類や潜水時計の種類、精度の計算、表示、電池寿命の表示といった規格があります。

 

(think)④残照機能付きELバックライト

タグに表記されているELバックライト。G-SHOCKの代名詞と言ってもよいくらいの機能で文字盤が光ることで暗闇でも抜群の視認性を発揮する機能です。交流電流で発光するエレクトロルミネッセンス(EL)素子を利用して文字盤を明るくする照明装置は1994年に発売されたDW-6600に初めて搭載、以降ELバックライトを点灯させることで様々なロゴやデザインが楽しめるモデルがたくさん誕生しました。

このGS-500D-1Aはシンプルにバックライトが光るだけで前述したデザインが浮かび上がるなどの遊び心はありませんが視認性の向上とボタンを1回押すだけで数秒間点灯し続ける残照機能が付いていることが魅力です。

暗闇で発揮する抜群の視認性ははっきりと時刻が読み取れます。

 

 

(think)⑤20気圧防水

時計に水圧がかかった時の時計内部への水の侵入を防ぐ機能を防水性能と言い、防水時計の基準は日本工業規格(JIS)により4つの基準に分けられています。

※国際標準化機構(ISO)では上記4種類の区分規定は行っていませんが、「防水時計」「潜水時計」の定義・要求事項はあります。

 

その4つは以下のようになります。

 

【第1種防水時計】

・日常生活用防水(3気圧防水)

日常生活において経験する汗、雨、洗面所、台所での洗い物などに耐えられる程度の防水機能です。

 

【第2種防水時計】

・日常生活用強化防水(5気圧防水)

ガソリンスタンド、魚市場など水に触れることの多い仕事をされている方向きです。

・日常生活用強化防水(10気圧・20気圧防水)

ボンベ無しのスキンダイビング、水上スポーツ、入浴に耐えることが出来ます。

 

【第1種潜水時計】

・スキューバ―潜水用防水(100m防水・200m防水)

水深100~200mまでの耐圧性と水中使用に耐えることが出来ます。

スキューバ―ダイビングなどで仕様され、潜水、減圧時間を計測するのに

必要な逆回転防止機能付きベゼルを搭載したモデルが一般的です。

 

【第2種潜水時計】

・飽和潜水用防水(200m・300m・600m・1000m防水)

水深耐圧性、ヘリウムガス対策に対する機構を備えています。

第1種潜水時計同様、潜水、減圧時間を計測するのに必要な

逆回転防止機能付きベゼルが付きます。

 

以上から、タグに記されている【20気圧防水】とは、ボンベ無しのスキンダイビング、水上スポーツ、入浴に耐えることが出来る日常生活用強化防水を備えていることとなります。

因みに20気圧防水と200m防水は同じではありません💦

20気圧防水は静止した状態で水深200mまでの水圧に耐えられることの意で

動作保証はしておらず、対して200m防水は水深200m地点での水圧に耐えられる

ことに加え、りゅうずなどの操作による対外力性試験により、

外力による防水保証をしています。これは大きな違いですよね。勘違いしてしまいやすい部分です。

 

 

(think)⑥TITANIUM(チタニウム)

一般的に腕時計のケース素材として多く用いられているのはステンレススチール(SS)ですが近年ではSS以外にも様々な素材が用いられるようになりました。

そのひとつがチタン素材です。名前はギリシャ神話のタイタン(巨人)に由来し、鉄に炭素を加えた合金である鋼の約55%の質量、強い強度、熱伝導性、電気伝導性が非常に低く非磁性体であることが特徴です。チタン素材の特徴を簡潔に言えば、「軽い」「強い」「金属アレルギーを起こしにくい」の3つでこれらの特性は腕時計の素材に適しています。これらのメリットに対してデメリットは摩耗に弱いこと。この弱点を補う為にアルミニウムやパナジウムなどとの合金として強度を上げた特殊な表面加工処理が開発されています。またイオン化傾向が高く酸化しやすい性質ですが空気中で形成する不動態被膜により金、プラチナと同等の耐食性を持っていることが特徴です。

強い衝撃から守る構造のG-SHOCKはケース径40mmを超えるものが多く厚みもありますからそのケース素材にチタンが使われることで≪軽量化=日常での使いやすさ≫につながりますよね。

 

【まとめ】

さて、いかがでしたでしょうか。18世紀から19世紀にかけて開発された携帯時計はもともとヨーロッパにおける貴族達が身に着けるステイタスシンボルのようなものでした。複雑機構を備えた時計、高級素材を使った時計は当時の贅沢品です。

その後のイギリス革命において鉄道や工場などが増え産業が発達すると腕時計は一般市民の生活により密接にかかわるものとなっていきました。ファッション性から道具としての実用性が求められるようになると次第に一般の人々にも普及されていきます。

その一方で19世紀から20世紀にかけて起こった戦争の勃発。ここでも腕時計は戦場に赴く兵士達の必携道具となり機能性はさらに求められるように。

その後20世紀の中ごろには宇宙開発や企業の技術開発などが進むと宇宙に携行する機能、耐久性をもつモデルが誕生します。

20世紀後半に起こったクォーツショックでは機械式時計のブームが下火になり安価で高精度なクォーツ時計に機械式時計は市場を奪われてしまいますが、1980年代より始まった原点回帰の風潮から機械式時計は見事に復活、今尚盛り上がりを見せています。そして21世紀の現在、様々なテクノロジーが駆使されたスマートウォッチの出現などがありましたが、極端な市場の奪い合いにはならずユーザーが求める実用性やライフスタイルにより上手にすみ分けがされた印象です。

こうしてみると腕時計はユーザー側の要求と時計メーカーの高い技術力や信頼によって進化を遂げてきたことがうかがえます。

 

今回、取り上げたG-SHOCKのGS-500D-1Aの誕生は1990年代後半ということで誰もが当たり前のようにオフィスでパソコンを触っているという時代でもなく、またインターネットがそれほど普及されていなかった時代です。この時代にすでにこの先の誰もがスマホを持つようになり、パソコンの普及率が高くなる21世紀、すなわち一般生活において磁気に接することが身近になることを予測して生活環境の変化と技術革新により耐磁時計が開発されていたとするならば…。もう考えただけでワクワク感が止まりません。

一つのタグからここまで見えてしまうわけです。

 

 

残照機能付きELバックライト、JIS規格1種の耐磁性能と20気圧防水を備える腕時計。

これら「なんとなくはわかってはいたけど…」の部分を掘り下げてみて初めてわかることが多々あります。

私たちの身近に感じる外的環境(水、磁力、衝撃、温度などなど…)への対応を含めた商品開発など

各メーカーは常に進化し続けているように思います。

それとともに自分自身に合った時計選びにもますます選択肢が広がりますよね。

そしていつも身に着けている時計に愛着を感じるようになり見方まで変わってきます。

ん~、楽しいですね。

 

最後までコラムを読んでいただきありがとうございました。

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